水曜日, 4月 09, 2008

バウンシングバックはスパム受信を増やすかも

 2007年5月14日にバウンシングバック認証方式反対キャンペーンを始めてから早いもので11ヶ月になる今日このごろ。2007年9月5日掲載のヨイショ記事にとんでもないことが書かれているのを見つけた。OptPlusの輸入ベンダーであるネオジャパンの取締役の言葉として書かれていたもの。

「送信したメールの数だけ認証依頼メールが届くため、スパマーを攻撃することにもつながる」(狩野氏)という。

なんちゅうことおっしゃるの!
 スパムの送信者アドレスに向けて大量のメールを送り付けることによってスパマーに被害を与えることができるくらいなら、みんなやっている。それはやってはならないことだというのは常識である。もちろん、スパマーは送信者アドレスを詐称するからである。スパムの送信者アドレスへメールを返すことは、アドレスをかたられた罪のない被害者を攻撃することになるのである。
 もう一つ、スパムに返信してはならないとされる理由がある。受信者アドレスが有効であることをスパマーに教えてしまうおそれがあるからである。この、やってはならないとされることを自動でやってくれるのがバウンシングバック認証方式である。
 もしスパマーが、罪のない他人のアドレスを送信者アドレスにかたらずに、バウンスが自分に返るように送信者アドレスを設定することがあるとすれば、宛先アドレスの正しさを確認するためだろう。当然、大量のエラーバウンスを受けても平気なように受け口を準備する。そしておそらく、受けたバウンスを自動処理する。mailer-daemonまたはpostmasterを送信者アドレスとするバウンスが入ってきたら、宛先アドレスは無効だったと知ることができる。送信に成功したスパムに対するバウンスが来なければ、宛先アドレスは有効だった可能性が高いと判断できる。そして、スパムに返信する人がいたら、宛先アドレスは有効だったと判断できる。バウンシングバック認証依頼メールを自動送信した場合もそれと同じである。バウンシングバック認証方式は、スパマーに「あなたが送ったスパムの宛先アドレスは正しいものでした」と積極的に教えることになるのである。
 OptPlusのベンダーはこう言うだろう。「有効なアドレスであることをスパマーに知られてスパムが増えても、OptPlusはスパムを100%遮断してくれるのだから平気だ」と。しかし、スパムはペンディングキューに入る。ユーザーは、正当な送信者がバウンシングバック認証に応じてくれなかった場合に備えて、ペンディングキューを定期的に見なければならない。受信するスパムが増えれば、ペンディングキューから正当なメールを探し出す作業はより大変になる。初めのうちは少ししかスパムを受けていなかったユーザーも、スパムに対してバウンシングバック認証依頼メールが送られ続けることによって、だんだん多くのスパムを受けるようになるおそれがある。
 そして、すでに私が指摘しているとおり、バウンシングバック認証方式は破る方法がある。受信者がホワイトリスト登録していそうなアドレスを送信者アドレスにかたればよい。OptPlusのユーザーのメールアドレスを有効なアドレスとして知るスパマーが増えるほどに、いったん破られたら被害は大きくなる。
 そもそも、詐称が容易な信頼できない情報である送信者アドレスを、正当なメールかどうかの判定に使おうというのが間違っているのである。

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