日曜日, 1月 07, 2007

ビジネス案件

 S25R方式は実装が簡単なので、メールサーバを自営で運用しているサイトでは簡単に導入できるものと思っていたが、そうでもないケースがあることがわかった。
 数十人規模の会社の人から相談を受けた。スパムの受信があまりに多くて、連休を挟むとメールスプールがあふれてサーバが障害を起こすほどで困っている。しかし、サーバの管理ができる人は会社の本業に多忙で、なかなか抜本的な対策をとれない。そこで、お金がかかってもいいから対処法を具体的に教えてほしいとのことだった。
 具体的にと言われても、「この順序でコマンドを打てばいいです」と答えることはできない。すでにPostfixを使っていればまだしも楽だが、その会社のMXはsendmailを使っている。Postfixはsendmailからの移行がやりやすいようにできているとはいえ、現状のサービスに悪影響がないことを確認するためには、システム構成全体を見る必要がある。とても私一人がボランティアでちょこちょことやってあげられるような簡単な仕事ではない。
 サポート会社に依頼することを勧め、結果的に私の勤務先の子会社に案件を紹介した。私の見積もりでは、システム構成の調査、システム設計、サーバの再構築、RgreyまたはtaRgreyの設定、動作確認、その後の運用のためのドキュメントの提供に、上級技術者1人がかかりきりになって2週間。費用は約50万円。案件の紹介先の子会社でも「そんなものだろう」と言っていた。私の友人は「うちなら60万円もらう」と言っていた。相談してきた人は「そんなにかかるのですか」とおっしゃったが、技術者の派遣には従業員の税込み給与の3倍くらいの料金をいただかないと事業経営が成り立たないので、そのくらいにはなる。
 このビジネス案件の契約が成立するかどうかはまだわからない。サーバの再構築を委託するために約50万円払うか、自社の社員を会社の本業から一時的に離してサーバの再構築にあたらせるかは、お客様の判断しだいである。あるいは、スパムによるスプールあふれを避けるためだけなら、ディスクを増設する方が安いかもしれない。
 このようなビジネス案件の潜在需要は多いだろうか。いや、それほどないだろう。自営のサーバを持ちながら、サーバ管理者がサーバの管理に労力を割くことができず、かつサーバ管理者が他人によるサーバ再構築を受け入れるというケースは少ないと考えられるからである。自社のサーバの管理に社員がかかりきりになれないという事情のお客様のためには、むしろ、スパムの排除を売りにしたホスティングサービスの方がビジネスチャンスになるかもしれない。

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