「スパム対策技術」の目次ページよりも論文の方が注目度が高いので、検索サイトから論文へ直接来る人が多い。それで、論文を熟読せずに「逆引きできないメールサーバを排除するのはけしからん」、「ダイナミックIPアドレスの個人メールサーバを排除するのはけしからん」などと批判する人がいる。そこで、論文のページの上端と下端に「このページへ直接来られた方は、目次ページもご覧ください。」と書いている。目次ページを見れば、ホワイトリストを使うことや、ホワイトリスト登録すべきメールサーバを発見しやすくするためのスクリプトを提供していることや、すでにS25R方式を導入している人がいることは一目でわかるはずである。
しかしそれでも、目次ページを見ないどころか論文さえまともに読んでいないとしか思えない批判が現れた。「reject_unknown_clientは迷惑メール対策としておすすめではない」というブログ記事である。そのオーナーさんから、私の論文をリンクしたという通知をメールでいただいたのは7月1日。その人が使用を反対しているreject_unknown_clientをS25R方式が使っているということしか引用していない。逆引きできないホストを蹴るばかりか、逆引きできてさえ、ホワイトリストなしにはmc1-s3.bay6.hotmail.comは蹴るわ、web35509.mail.mud.yahoo.comは蹴るわという乱暴なやり方であることにはお気付きでないらしい。また、ホワイトリストを作る前の偽陽性判定率が約13%であることは2006年12月から目次ページの先頭に書いているし、今年5月3日に論文にも付記したのだが、それにもお気付きでないようである。気付いていたら、
「「阻止率99%」と題してはいるものの、その数字は、受け取れるべき正常なメールをスパムと誤判定した確率は何%ですか?という話とはまた別である点が、この論文のそもそものトリックなのである。」
などと書くよりも、批判の観点をもっと工夫するだろう。すぐに返事を出して、2006年12月13日「逆引き論争」(そのブログ記事とそれへの反論の両方を論評している)と、2006年7月24日「Unknown hosts」(逆引きできない正当なメールサーバを蹴りっぱなしにしてはならないと言っている)のURLをお知らせしたが、その後も批判の文章は変更されていない。
これをきっかけとして工夫し、論文のページに閲覧者をびっくりさせる仕掛けを入れた。目次ページを見ることを促すアラートがポップアップするようにしたのである。
ただし、目次ページから論文へたどる人にも毎回アラートを出すのは失礼である。そこで、内容が同じでアラートを出さない第二の論文ページを作り、目次ページからはそこへリンクした。この第二の論文ページにはロボットよけを仕掛けている。当然ながら、アラートを出さない第二の論文ページへ検索サイトから直接来られては、以前と同じことになってしまうからである。なお、目次ページには、以前からの論文ページへのリンクも保持している。リンク切れに見えては、せっかく上位にヒットしている論文が検索順位で不利になりかねないと思ったからである。
たとえ的外れな批判であっても、批判者には感謝しなければならない。S25R方式への支持を表明してくれている数十人の人の裏には声なき支持者が数千人いると期待してよいとすれば、批判を表明している数人の人の裏には声なき批判者が数百人いると思うべきだろう。批判を表明してくれる人のおかげで、私はS25R方式を正しく、より容易に理解してもらおうと工夫する。目次ページの先頭にS25R方式の要点を掲示したことや、Q&Aを作ったことや、目次ページを見るよう促すアラートなどがそうした工夫である。このような努力によって、私のコンテンツはより説得力のあるものに成長していく。そして、理解不足による声なき批判者は減っていくであろう。
なお、皆様には、論文へのリンクはこれまでどおり
http://www.gabacho-net.jp/anti-spam/anti-spam-system.html
としてくださるよう、目次ページからたどれる、アラートを出さない論文ページにはリンクしないよう、ご協力をお願いします。
(2010年5月18日追記)
論文ページをはじめすべてのページに他ページへのインデックスを設け、アラートはやめました。
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