火曜日, 1月 15, 2008

jpドメインからの不正メールアクセス

 国内のISPにはOP25B(Outbound Port 25 Blocking)がかなり広まったらしく、私がS25R方式を開発中だった2003~2004年ころに比べて、国内からの不正メールアクセスがめっきり減った。そこで、国内サイトで偽陽性判定を減らすために、日本のIPアドレスを全部許可する方法を提案しようかと考えていた。しかし、やめた。調べてみたら、国内からの不正メールアクセスはまだ途絶えたとは言えないことがわかったからである。
 以下は、2007年12月16日から2008年1月15日21時までの拒絶ログから、逆引きFQDNがjpドメインのものを拾い出した結果である。日時、逆引き名、拒否応答コードを示している。なお、Q&AのページのQ/A2-5で説明している設定によって、明らかに不正とわかるアクセスと宛先誤りのアクセスをS25Rチェックに優先してはじくようにしている。応答コード「550」のものはuser unknownエラー、「450」のものは宛先が正しくてS25Rチェックではじいたものである。

Dec 16 21:26:18 p3242-ipbfp1401osakakita.osaka.ocn.ne.jp 450
Dec 18 20:33:48 t01.combzmail.jp 550
Dec 19 03:25:30 203.141.132.142.static.zoot.jp 550
Dec 19 04:01:37 p1024-ipbf09takakise.saga.ocn.ne.jp 550
Dec 19 10:24:36 61.206.118.155.static.zoot.jp 550
Dec 19 22:37:14 203.141.132.142.static.zoot.jp 550
Dec 20 12:39:03 203.141.132.142.static.zoot.jp 550
Dec 21 14:53:23 opt-125-215-101-221.client.pikara.ne.jp 550
Dec 21 16:15:32 u004425.ueda.ne.jp 450
Dec 22 15:18:21 202-71-93-92.ap-w01.bb-west.ne.jp 450
Dec 23 04:33:46 203.141.132.142.static.zoot.jp 550
Dec 25 06:52:21 p2057-ipbf04motosinmat.mie.ocn.ne.jp 450
Dec 25 19:37:54 p6230-ipbf201sapodori.hokkaido.ocn.ne.jp 550
Dec 28 00:40:13 122x212x213x69.ap122.ftth.ucom.ne.jp 450
Dec 28 16:45:00 61.206.118.99.static.zoot.jp 550
Dec 29 01:55:10 61.206.118.99.static.zoot.jp 550
Dec 31 22:58:05 214.net059086069.t-com.ne.jp 550
Jan  2 07:19:05 p2225-ipbfp405yosemiya.okinawa.ocn.ne.jp 450
Jan  2 11:07:47 p1198-ipad12matuyama.ehime.ocn.ne.jp 450
Jan  3 01:10:56 p670c8e.tkyoea09.ap.so-net.ne.jp 550
Jan  3 21:14:23 p6083-ipad13fukuokachu.fukuoka.ocn.ne.jp 550
Jan  6 07:34:28 catv303135.tac-net.ne.jp 550
Jan  8 14:57:46 p1121-ipbf1102hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp 550
Jan 10 22:39:21 eatkyo050162.adsl.ppp.infoweb.ne.jp 450
Jan 12 17:08:53 w147078.ppp.asahi-net.or.jp 550
Jan 12 23:16:13 AI-203-132-116-124.kyo.access-internet.ne.jp 550
Jan 12 23:16:26 AI-203-132-116-124.kyo.access-internet.ne.jp 550

 以上、27回。トータルで4477回(偽陽性判定を除く)なので、jpドメインからのものは0.6%。かなり少ないとは言える。しかし、応答コードが「450」、すなわち宛先が正しかったものは9回。jpドメインをすべて許可していたとしたら、これらを受けてしまっていた。国内のIPアドレスを全部許可していたとしたら、国内にあって逆引きできないホストやjp以外のドメインのホストも加わって、受けるスパムはもっと多かったかもしれない。この期間に受けたスパムは16通なので、国内のIPアドレスを許可することによってスパムの受信は1.5倍以上に増えることになる。これでは、OP25Bの普及を当てにして国内のIPアドレスを全部許可するなんてことはとてもできない。
 OP25Bを実施しているISPに名を連ねているOCNからの不正メールアクセスが目立つ。考えられる理由の一つは、OP25Bの対象にならないスタティックIPアドレスのホストがボットにやられているということである。*.static.zoot.jpというホストから不正メールアクセスが来ていることからも、そういうことは考えられる。もう一つ考えられることは、これらのアクセス元はダイヤルアップ回線だということである。ダイヤルアップ接続は、接続時間が短いため比較的スパムの発信源になりにくいことと、モバイルの利用でOP25Bをやられては非常に不便だということから、OP25Bの対象になっていないことが考えられる。実際、私がモバイルに使っているbモバイルは、携帯電話会社向けのポート25を規制しているだけであり、私は自宅のサーバを経由してPOP-before-SMTPでメールを送信することができている。
 なお、私の自宅サイトはOCNを利用しているが、ダイナミックIPアドレスから同じOCNの他顧客のネットワークへのポート25ブロッキングをしていないなんてことはまさかないだろうと思う。
 t01.combzmail.jpは、SMTPに応答するまともなメールサーバである。ここからのアクセスは、かつてわざとスパマーに拾わせたおとりのアドレスに宛てたものだった。combzmail.jpはメール配信ASPサービスである。顧客がスパムをばらまこうとしたか、顧客のPCがボットにやられたのかもしれない。
 もう一つ気付いたことは、OP25Bを実施しているISPに名を連ねていないISPもけっこうあるということだった。
 結局のところ、OP25Bの推進は不正メールアクセスの減少に功を奏してはいるが、スタティックIPアドレスやダイヤルアップ接続のホストもスパムの発信源になっていると思われる状況である。送信側の自主規制策としてのOP25Bがいくら普及しても、S25Rによる受信側の自衛策が不要になる時代は当分来そうにない。

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